”知って欲しい”皮膚病の話

海水浴皮膚炎 -チンクイにやられた!-

夏、海や山へと行楽シーズンですが、特に夏の終わり頃、海水浴後強い痒みを伴う発疹が出た経験のある方いらっしゃると思います。クラゲによる皮膚炎も有名ですが、プランクトンによる皮膚炎もまた多いことご存知でしょうか?クラゲ刺傷の場合実際にクラゲを視認できたり「ビリビリ」し「チク」っとしたりするためクラゲにやられたことを自覚するケースが多いと思います。一方、プランクトンによる皮膚炎は実際に接触したときには「チクチク」っとした、もしくは全く気がつかないこともあり、少し時間がたってから明らかな症状が出てくることも多く、いったいどこでやられたのだろう?体の中から起こったもの?と誤解されることもしばしばです。

水着の中、外かまわずでてくる痒みの強い発疹が主症状で部分的に集中して小さなぶつぶつができることが多いです。以前は水着の中のライニングのところに集中して発疹が出る例が多かったのですが(故に俗称でチンクイ虫なんていわれたりすることがあります^_^;)、時代とともに特に男性の水着がぴったりとしたものよりもトランクスのようなゆったりしたものが多くなったせいで水着のラインに沿って発疹ができることは少なくなっているようです。女性の場合はビキニ全盛の昨今、昔ながらの海水浴皮膚炎も少なくないと思われますが、デリケートな部分のためか(私が男性皮膚科医であることも関係?)受診される患者さんは男性に比べると少ない印象があります。ただ、男性でも女性でも罹患する可能性はかわりません。

では、どういったところで刺されるのかというと比較的波の穏やかな海岸で多いと思われます。基本的にプランクトンはまとまって流されてくるので同一の海岸でもやられるところとそうでないところの予想がつきません。沖でも波打ち際でもやられます。「チクチク」を感じたら場所を変えて遊ぶなど・・・あまり有効な予防法はないようです。

対処法は・・海水浴中に「チクチク」とした違和感を感じたら早いうちに流水で洗い流します。肌のでているところだけではなく水着の中も忘れないように。赤い発疹がでてきてもなるべく掻かないように冷却すると少しかゆみは和らぎます。痒みが激しい場合には炎症の度合いによりステロイド含有外用薬、もしくは内服薬が必要になるケースもあります。特に夏場は小児の場合掻きこわしから「とびひ」になることもありますので近所の皮膚科専門医にご相談されることをお勧めします。

(済生会横浜市東部病院皮膚科・畑 康樹)