”知って欲しい”皮膚病の話

毛虫ひふ炎

例年、5月ごろ、人々が屋外で活動することが増えるころと機を一にして、増えてくる皮膚病があります。それは「毒蛾皮膚炎」です。人に害をおよぼす毒蛾にはチャドクガ、ドクガ、モンシロドクガがありますが、特にチャドクガの被害が多いようです。

チャドクガは、5~6月と8~9月の年に2回、卵から孵化して幼虫(毛虫)になり、6~7月と9~10月に成虫(蛾)になります。幼虫と成虫の毒針毛に触れることによって症状が出るのですが、卵の殻や、脱皮した殻にも有毒の毛があるため、まれですが冬にも発症することがあります。

チャドクガは、ツバキ、カラタチ、サザンカ、チャの木に多く、特に学校や集合住宅などにツバキが好んで植えられていることから、同じ学校のお子さんや、近所の方々などが多数被害にあうことがあります。幼虫の場合、1匹に30万本以上の毒針毛があり、それが皮膚に刺さることによって、赤い、かゆみの強い発疹が出てきます。毛が刺さったところに発疹が出るので、露出部に多く、非対称的(左右どちらかにかたよっている)であることが多いです。ただし、薄い衣服では毛が通ってしまうので、シャツなどに覆われている部分に出ることもあります。また、実際に、上に挙げた木に触れたり、毛虫の姿を見なくとも、木の周囲で草むしりをしたり、通ったりするだけで、落ちてきた毛に触れて発症することもあります。洗濯物を干すときも、そうした木々のそばは避けたほうが無難です。

明らかにこの虫に触ったことがわかったら、直ちにセロテープを、触った付近に貼って、はがすという作業を繰り返し、せっけんをよくあわ立ててやさしく洗い、シャワーで流してください。でも、案外触ったことに気づかない場合が多いようです。真っ赤で痒い発疹が一度にたくさん出るので、びっくりしてしまうことがありますが、あわてず皮膚科にきてくだされば大丈夫です。

(横浜市港南区:ふくろ皮膚科・袋 秀平)