”知って欲しい”皮膚病の話

かいせんパート2「疥癬虫はシワが好き。虫の残した水尾を追え!」

疥癬虫はどこにいる?

疥癬の診断を確定するには、疥癬虫や卵を見つけて顕微鏡で確認しなければなりません。でも、疥癬のときにできる痒くて赤いブツブツから疥癬虫がみつかることはまずありません。疥癬虫は、最も大きな体をもつメス虫でも体長はわずか0.4mm、しかも体の色はクリーム色の保護色になっています。目で見て皮膚のどこからか虫を見つけ出すのは、広い砂場に落としたコンタクトレンズを探すようなものです。

毎日アカが出るのはどうして?

私達の皮膚は、昨日アカスリをしたら今日はアカが出ないということはありません。皮膚の下で生まれる新しい細胞が、たえず皮膚の表面に向かって移動してくるからです。皮膚の一番外側の角層は、古く平らになった細胞がパイのように何層も積み重なってできています。このパイの層が毎日下から更新されてきて、一番外側の古いものから順にアカとなって剥がれ落ちていきます(図1)。


図1 皮膚の断面

メス虫は角層を持ち上げて進みながら産卵する!

メス虫は角層の一番下に潜りこみ、角層を背中で持ち上げて、その下の皮膚の層から剥がしながら進みます。そして体の後側に卵を産みつけていきます(図2)。このメス虫産卵の道筋を疥癬トンネルといいます。トンネルの部分でも角層はたえず下から更新されてくるため、まずトンネルの天井部分が、ついでトンネルの床がどんどんせりあがって剥けていきます。さらにトンネルの古い部分では、トンネルの両脇も外側に向かって順次剥けていきます。そのためトンネルは全体として末広がりのY字型にみえることがあります(図3、4)。


図2 疥癬トンネルの断面

図3 足底のシワの上のY字型皮疹 (疥癬トンネル)

図4 疥癬トンネル(図3)の拡大像

疥癬虫はシワが好き。虫の残した水尾を追え!

Y字型の皮剥けは、水面を泳ぐ水鳥の後ろにできる末広がりの水のすじ(水尾(みお))のように見えるので、これを「水尾徴候」(‘wake sign’)と呼んでいます(図4)。水尾型の皮剥けは、掌や足の裏のシワの上などにみつかります。水尾型の鱗屑は目に見える大きさなので、疥癬虫を探す道しるべになります。

(東京都北区:吉住皮膚科クリニック・吉住順子)